めくるめく

また西新宿に新しい知り合いができた。

お弁当屋さん、だという。

あ、いや、100円ショップもやっている、という。

さらに話をしているうちに、
あ、いや、実は本業は通信関係の仕事で、
インターネット時代の初期から
大手商社でモデムやADSL回線の開発を手がけてきたのだという。

つまり、この人の人生は、
どうやら上に出てきた3つの仕事を逆の順番にたどる
かたちで展開されてきたものらしく、
「モデムやADSL回線の開発」から「100円ショップ」や「お弁当屋さん」にいたる過程で、
通信機器の生産コストの安い地域を求めて台湾に行き当たり、
そこでエンジニアたちの教師をしているうちに台湾が大好きになり、
なにを食べても安くておいしい台湾と日本との違いに思いをいたし、
帰農した元同僚たちから入手できる食材をもとに「お弁当屋さん」を始めたのだという。

猛烈な勢いで話をする人で、
ものの10分かそこらのうちに、それだけの人生が開陳された。

その間、聞いているわたしの頭のなかでは、
それまであった「お弁当屋さん」「100円ショップ」「インターネット」「台湾」
といった概念に、次から次へと新しい角度から光が当てられていった。

事実は人の数だけある、とよくいう。
いかにも――と思わされた一夜だった。

ただ、それにしても、あの猛烈な話しぶりはなんだろう。
わたしもよく「おしゃべり」だと言われる。
だから、おしゃべりの背後にあるものはなんとなく想像がつく。
あの人の背後にも、そういう要素があるのだろうか。

理解は安心を生み、多くの言葉を要さない境地につながる。
寡黙さも、脱・流れ者の達成度をはかるバロメーターになりそうだ。


by pivot_weston | 2008-12-12 08:00 | ブログ