おじさんたちの耕作放棄地

 関東平野某所。学問の畑や、芸術の畑や、いろんな畑で活躍してきたおじさんたちが集まって文字どおりの畑をやっているところがある。

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 いまはやりの「耕作放棄地」。というか、かつてはランニングシャツ姿の腕白少年たちが元気に走りまわっていたと思しき豪壮な二階建ての住宅ごと放棄されたところを、その多彩な分野の先生がたのおひとりが買い取って、そこへ仲間の先生がたも「おれも」「おれも」と集まってきて、ふたたびおっとりとした生気がよみがえっている丘陵地の一角。

 サトイモ、トマト、ソバ、ブルーベリー、トウモロコシ、ナス、カボチャ……「あれもやりたい」「これもつくりたい」で集まってきたおじさんたちの畑は、面積のわりに作目が豊富で、しかも、あ、ここにちょっとあまったところがあるから、あの種も蒔いちゃえ……式に、分画が人間味あふれるテキトーさで細かく入り乱れているところが、またおもしろい。

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 久しぶりに続いた長雨が、今度の週末はどうも途切れそうだというので、「おれも」「おれも」のさらにその外側からのぞきに行かせてもらっているこのおじさんも、次女と孫を連れておじゃまさせてもらったが、7月12日は父の25回目の命日。朝、東京駅の八重洲口で高速バスに乗るときに、わっ、25年前も、喪服に身をつつんで「今日は人類史上最高に暑い日じゃないの」と思わされた、とんでもなく暑い日だったが……と思ったその予感そのままに、みごとに記憶が再現された一日だった。

 ブルーベリーの低木のまわりで這いつくばって草を取っていると、誰かが背中をたいまつであぶっているのではないかと思えるくらい暑い。お昼ごはんのときにも、いまは引退して好々爺然としているえらい先生がたに勧められる固形物の食品を食べる気にならず、昔の「ワタナベのジュースの素」の話などもしながら糖分たっぷりのジュースばかり飲んでいたが、ま、まだ保育園の孫がひとりで電気ノコギリのスイッチを入れて、「あっ、こらっ!」と驚かせてくれたり、好々爺先生がたに石臼でソバひきの体験もさせてもらったりしながら、随所にわたしの同年代のころの内面の動きを思い出させくれるいたずらをしていたし、帰りには、古河のいとこのうちにも寄って、なんとも見晴らしのいい涼しい部屋で一服させてもらったので、よしとしよう。ほかの若い仲間たちに予定されていたブルーベリー1.5kgの収穫も先にいただいて帰っちゃったしね。真失礼(ジンシッレイ)!

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by pivot_weston | 2015-07-13 05:50 | ブログ