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国際土壌年がやってくる!

 すごいタイトルやなあ――と思い、つい反射的に、ここでも復唱させていただくことにした。

 先の記事「フォーカス・オン・アース」をアップしたら、さっそくキャプテンMから新しいサイト、ソースの紹介があった。

「国際土壌年2015応援ポータル」だって。

 ここなら、小中高生のみなさんも「国際土壌年2015応援団」にとっかかって、食らいついていけそうだ。なんつったって、子供向け教材「土壌の観察・実験テキスト」の紹介もあるし(お、Webからダウンロードもできるんだ!)、「高校生ポスター発表会」の案内もある。

 ぜひみなさん、一度のぞいてみてください……と、書いたところで、「東京農工大小金井キャンパス」の文字が目にはいった。

 農工大のキャンパスにおじゃましたことはなかったけど、ここ、実はわれわれ夫婦の段ボール箱をテーブル代わりにした新婚生活の地。おもしろいところだった。

 妻とふたりでアパートさがしをしていたら、「武蔵小金井駅徒歩2分」という物件を紹介された。小金井というのは行ったことのないところだったけど、「お~、2分ならいいじゃん」と言いながら、その物件を見に行ったら、いきなり駅前(というか、駅前の少しわきのほう)に木ばかりが植わったところがあった。どうやら、大きな植木屋さんかなにかだったらしいが、紹介された物件はその陰、というか、奥。駅前の通りの裏手の自転車置き場のわきの板柵のあいだをすり抜けていくと、ほんとうに2分(いや、もしかしたらそれ未満)で行けるとても便利なところだったが、大地主の大家さんの敷地のなかにあったので、車もほとんどはいってくることのない静かなところだった。

 で、毎日夕方になると、その大家さんの大きなお屋敷の裏手のほうから煙があがる。まだおばあさんがかまどでご飯を炊いていたのではなかったか。西の空がほんのり代赭色に染まるころ、ベランダから駅前の西友や長崎屋を見上げる視界の片隅に、その暮らしの煙が奥ゆかしく立ちのぼる光景がなかなか胸に染みてよかった。

 みんなが窓をあけはなつ夏には、近くからピアノの音が聞こえてきて、裏の畑では悪がきどもが野球をやっていて、うちの窓も一度、ガチャンとなつかしい軟球で派手に割られたことがあったか(はは、いまから思えば、まだ『オバケのQ太郎』なんかの、土管を積み上げた空き地のあった時代だ)。

 生まれたばかりの長女を座布団の上かどこかに寝かせていると、田舎育ちのわたしにも意外だったが、天井のどこかからヤモリがぽたぽたと落ちてきて、テレビから欽ちゃんたちの「めだかの兄妹」の歌が聞こえるなかで、「わっ、またヤモリだっ!」パチンッ!――とやっていたのを思い出す。週末になると、そこへ翻訳学校の仲間たちが集まってきて、そうなると長女にはどこかへ撤退願い、同じ座布団の上でまたパチンッ、パチンッ、「よしっ、イノシカチョー!」「マツ来い!」などとやっていた。

 長女が通いだした保育園も、駅の南側(農工大の側)の、バスで行くような遠いところにあったが、そちらにはまた、途中にニワトリを飼っていた農家があり、そこまで行くと決まって長女が「トットちゃん」「トットちゃん」と言ってしゃがみこむものだから、毎日、「トットちゃん」の時間こみで早めにバスに乗っていた。

 冒頭の話とはなんの関係もない話だけど、つい思い出すままに……。小金井は文章や言葉の世界の人もけっこう住んでいて、地べたからいろんなものの染み込んだそういうものを吸い上げる土壌が整っていたところでもあったような気がする。


by pivot_weston | 2014-07-23 06:52 | ブログ