人気ブログランキング | 話題のタグを見る

長唄初体験

 ちらりと顔を出すだけで、たいへん失礼なことをしたのだけど、昨夜は杵屋三七郎さんの邦楽夜会にほんののぞき見程度に混ぜていただいた。

 ナベサンのナオちゃんのところでよくお会いする、まじめでやさしそうな青年がいて、いつもはジーパン姿だったから、つゆ思わなかったのだけど、その青年が立派な邦楽師の先生だったとは。わたしごときが批評めいたことを書いてはいけないのだろうが、たしかに、いい声をしている。それに、呼吸。あゝ、日本文化だなあ、と思う。三味線の音色も並行するけど、あのシンプルな単一の声の流れのなかに無数無限の変化を予感し、期待し、受けとめ、味わう……もしかすると、前にケブ・モーがホワイトハウスでやっていたブルースに通じるところもあるのかもしれないけど、ブルースは押し出しのひろがりで、長唄は細いそぎ落としで勝負するようなところに違いがあるのか。

 ひとまず拝聴したところで、カウンターを囲んだ酔っぱらいおじさんたちもひとりずつ、『京鹿子娘道成寺』の唄いだし「花の外には松ばかり 花の外には松ばかり 暮れ初めて鐘や響くらん 鐘に恨みは数々ござる」をだみ声でやらされたのだけど、やってみると、お、どこか、一向宗の正信偈に通じるところもあるのかな、と思わされ、宗教と音楽のつながりは、わたしのような安直戦後テレビ人間にとっては、さがしていたミッシングリングのようにも思えたのでありました。


by pivot_weston | 2012-04-13 17:55 | 音楽