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自分が歩いてきた道を……

 昨日見た光景。

 長身。ハンサム。歩きかたもスマート。でも、おや――と、腰のあたりに目を奪われた。

 スマートな胴とベルトをしたズボンの輪郭が食い違っていた。つまり、ちょっと最近やせてきて――などというレベルではないほど、ゆるゆる、ということ。

 あとで聞いてみると、ご病気とのこと。それも、厳しいご病気。

 道の終着点が見えてきたとき、さて、自分はどういう道を歩いてきたのだろう、と思うのは自然なことだろう。終着点の先の風景は、遠目に見えていても、あまり見ようという気にはならないかもしれない。楽しかった思い出がよみがえり、時間を巻き戻すことはできないが、場所や人や、なんらかの手がかりを頼りに、その思い出の時間を疑似的に再訪しようとする――面識のないかただが、そんなかたの、そんな瞬間に、すれ違うようにして遭遇した。

 でも、とてもやさしい言葉を発していた。とてもやわらかい表情も浮かべていて、はっきりと、周囲にいるわたしなどが、ん?!――と思うくらいはっきりと、感謝の気持ちも口にしていた。

 ほんの束の間のこと。でも、ああいうふうに、人がひそかに、ささやかに、はかない願いをこめて動いているときというのは、訴えるもの、伝わってくるもの、心に残るものがある。

 知り合いだったら、「ありがとう」の言葉のひとつもかけたいところだ。


by pivot_weston | 2011-09-15 09:10 | ブログ