アイルランドの断崖絶壁

だれにも、一度は行ってみたいと思うところがあるものかもしれない。

スロベニアのブレッド湖は、
とてもわたしには行く機会などないだろうと思っていたのに、
おもしろいもので、
ワイン会社ルミエールの塚本さんのおかげで、
行くことができた。
(このブログの「スロベニア」のカテゴリを参照)

ほかにも、
ノルウェーのフィヨルドや、
父が抑留列車に乗って通過したシベリアのバイカル湖などが、
子どものころから行ってみたいところのリストにある。

そこに、
大人になってからアイルランドの断崖絶壁がプラスされた。

大西洋に面した断崖の上で、
風がビュービュー吹いていて、
ジャガイモくらいしかとれないような寒村の
石垣に囲まれた家。

電気も来ているかどうかわからないような、そんなところで、
すきま風に揺れるろうそくを灯しながら生活したらどうだろう、
なんていう夢想が、
ある時期から、ときどき内面に湧いてくるようになった。

ジョン・フォードの映画を見たからだろうか。

ともかく、そういう、思い切りなにもないところで、
アメリカ大陸のほうから大西洋をわたって吹いてくる、
思い切り厳しい風を体全体に浴びながら、
ひっそりと暮らす――
なんていう生活スタイルにひかれることがある。

田舎の、大きな池と小さな池のほとりの、
大きな池の土手と神社の森にはさまれたところで、
その神社の森のはずれにあった、
また別の、小さな、沼のような池のほとりで夢想ばかりしながら
育ったからだろうか。

あるとき、
西新宿のあまり周囲に店のない地区の喫茶店にはいっていくと、
視野の片隅に映った壁の写真に、んっ、と思った。

それで、足をとめて、そちらに目を向けると、
まさに、わたしがときどき行きたい気分にかられる、その、
アイルランドの、大西洋に面した断崖絶壁の上の、
ジャガイモくらいしかとれそうにない寒村の、
石垣に囲まれた家の写真だった。

あれっ、あれっ、どうしてこんな写真?――と思い、
マスターにたずねると、
どうやらマスターもそこが大好きらしく、
しかも、わたしとは違い、
何度も何度もそこへ行ったことがあるということだった。

いいなあ、わたしも行ってみたい!

そう思ったのだが、
今朝もそんな気分が頭をもたげてきている朝だ。

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by pivot_weston | 2011-07-07 07:14 | 旅行・地域