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親ゆずりの異変――か?

このところ、
少し自分のキャラクターが変化してきたように感じている。

赤ん坊に好かれる。

おかしい。

姉ひとり、弟ひとりの末っ子として育ち、
たえずいっしょに遊んでいた母の実家のふたりのいとこと合わせても、
4人きょうだいの末っ子のような存在として育ったせいか、
3月23日付の「友の死」に書いた「ひさっさん」のような人はいたけど、
どうも年下、とりわけ赤ん坊は苦手だったはずなのに。

まあ、自分の子どもを3人も育ててきたのだから、
こうなるのも無理はないのかもしれないが、
娘の子どものダイゴーくんはともかく、
また、毎日会っているチンさんの子どものヨシカーツくんもともかく、
昨夜は、
木下先生の建築事務所の宴会に来ていた
元社員さんの娘さんにまで、にこっとほほえみをふりまかれた。

まだ5か月の赤ん坊。
おかあさんにだっこされ、べそをかきそうになっていたときに、
目が合うと、にこっ、だ。

やれやれ、どうしたことか。

思えば、わたしの「子ども苦手」に変化の兆しが見えてきたのは、
大学時代に、おととい会ったいとこと四国で合流したときだったか。
このいとこ、マサトくんともうひとり、別の叔父さんの息子のマサオくん、
このふたりをつれて歩いていると、なぜか受けがよかった。

同じ大学生の別のいとこの友人に、
つれていたふたりのことを「お子さんですか?」と訊かれたのには、
さすがに、おい、年が10歳ちょいしか違わないのに、それはないだろう、
と思ったが、なんとなく、子どもをつれていることに違和感を感じなくなった
始まりかもしれない。

そういや、父も3人兄弟の末っ子だったせいか、
あまり子どものことが得意ではなさそうだった。

いつも、わたしには距離を置いて接しているように感じていた。

もちろん、PTAの参観日などにも、来ることはなかった。

ところが、4年生のころだったか、
参観日に、どうせうちの親は来ていないだろうと思ってうしろを振り返ったら、
ギョロ目がトレードマークのおやじがいた。
黒い革のジャンパーに黒い革のズボンをはき、
髪をオールバックにして、両手をポケットに突っ込み、
着物姿のおかあさんたちのなかで、カッとその目を見開いている。

ギャッ、と思い、肩をすくめて前を向き、
もうあとは決してうしろを振り返ることはなかった。

どうも、子どものいる場にはそぐわない人だよな――そう思っていた。

ところが、その年の夏休みだったか、
神社の集会場で開かれた地域の子ども会の集まりに、
いきなりそのおやじが司会者として登場した。

家では、なにも言っていなかったので、
ほんとうに驚いたが、
その、子どものいる場にはそぐわない気がしていたおやじが、いきなり、
「おっさんはのう、あんまりこういうことには慣れとらんけど、なんでも言うてくれよ」
と言って、集まっていた子どもの心をつかんだ。

「えー、それでは、ただいまより……」
という紋切り型のあいさつで始まるのが恒例の会だ。
いきなり方言で、ふだんの暮らしのなかの言葉のままで切り出したおやじに、
みんなの注意が一気に吸い寄せられるのがわかった。

ありゃ、この人、こんな芸もできるんやないか――
息子はそう思った。
自分に距離を置いているように思えていたおやじを見直したときだ。

無理もない。
当時のおやじは、あとで事情を知ってみると、
結核を患い、銀行での昇進の話も断ち切られて退職し、
いっしょに事業を始めようとしていた仲間にその資金を持ち逃げされていた。

別に、子どもが苦手だったのではなかったのだろう。
もしかすると、わたしもそんなところなのかもしれない。


by pivot_weston | 2009-08-29 19:25 | ブログ