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『兵士たちの戦争』

昨夜のNHKのドキュメンタリー『兵士たちの戦争』には、
人間魚雷回天の話が出てきた。

子どものころ、
わが家にテレビが来てまもなく見た番組のなかで、
その後ずっと忘れずに脳裏に焼きついているものがふたつある。

ひとつは『橋』というドイツ映画。
戦争中にある街の橋を守っていたドイツの少年兵たちが
アメリカの戦車部隊に追い詰められ、
ひとり、またひとりと死んでいき、
ラストでは、最後のひとりがその橋の上で死んでいくのだったか。

強烈な印象を受け、
翌日、朝から晩まで祖母につきまとい、
何度も何度も「なあ、人間は死んだらどこ行くん?」と
尋ねて、あきれられてもまだ納得がいかず、
その後も胸のどきどきが続いた記憶がある。

もうひとつはNHKのドラマ『魚住少尉命中』。

人間魚雷回天の話だ。

ずっと、主役の「魚住少尉」は長谷川明男さんだったと思い込んでいたが、
念のため、いま調べてみると、どうやら21歳の中尾彬さんだったらしい。

「魚住少尉」の乗った人間魚雷が発射されてから
えんえんと少年時代の回想シーンが続いたように記憶している。

墓参りをするシーンもあり、
わたしの頭のなかでは、戦死した伯父の墓がそのシーンにだぶった。

そして、最後は画面が暗転し、
「魚住少尉命中!」の声が聞こえた。

どちらもとても子ども心を不安にさせる番組だった。
でも、その不安は、わたしたちが生きていくうえで当然もつべき、
必要な不安だったように思う。

いま、『兵士たちの戦争』のなかで
当時の本物の兵隊さんたちが語ってくれている話も、
同様に胸のなかにさざ波を立てる。

こういう番組をどうして夜中にやるのだろう。
証言者たちに、まだ表ではあまり語りたくない気持ちがあるのだろうか。

父は戦争の話をしなかった。
サングラスをかけて洒落者を気取っていた満鉄時代の話くらいしかしなかった。

話せる気持ちになった人たちの話せる話を
もっと聞いてみたい気がする。


by pivot_weston | 2009-08-06 07:47 | ブログ